1 はじめに

このドキュメントは、Majordomoによるメーリングリストの運用について記述されています。
メーリングリストの作成、管理、また一般ユーザとしてメーリングリストに参加する際の、方法やコマンドの説明から成り立っています。
このドキュメントを読むにあたって、必要な前提知識は以下の通りです。

  1. UNIXのファイル操作(cp、mv、touch等のコマンド)
  2. UNIXのエディタの操作方法(vi等)
  3. エイリアスの作成方法(/etc/aliasesの編集とnewaliasesコマンド)
  4. ファイルシステムのパーミションの変更方法(chmod、chown、chgrp等のコマンド)

上記作業につきましては、前提知識があるものとして、ドキュメントを記述しています。
このような作業に疑問点がある場合には、該当する書籍等を参照して下さるよう、お願い致します。


1.1 メーリングリストとは

メーリングリストとは、インターネットのメールシステムを利用し、あらかじめ登録されているメールアドレスに、メッセージを一斉に発信するシステムです。
メーリングリストシステム本体はMajordomoと呼ばれるソフトウェアを使用しています。
複数のメールアドレスが登録されている物を「リスト」と呼び、その「リスト」に登録されている各メールアドレス一つ一つを、「参加者」と呼びます。
ホームサーバ上にインストールされたMajordomo配下に、複数のリストを管理する事が出来、リスト毎に個別の環境設定を行う事が出来ます。


メーリングリストの全体構成

リストへの参加方法や、メールを投稿する権利等の環境設定ファイルの管理をする事により、1つのホームサーバ上に、自由に参加や投稿が可能な物から、参加や投稿を管理者によって規制した物まで、複数のリストを作成し運用する事が出来ます。

以下の様なリストは設定のサンプルですが、細かに設定内容を変える事により、お客様のニーズにあったリストを、多数登録する事が出来ます。

  1. 社内同報メール
    社内の広報や連絡事項を全員にメールするには、社員全員のメールアドレスを登録したリストを作成すれば、そのリスト宛てにメールを送るだけで、全員に配信されます。
    このようなリストを作成する際には、以下の様な項目を考慮して属性を設定する必要があります。
    • リストへの登録・退会は、管理者の承認が得られなければ実行出来ない。
    • 部外者から、参加者の一覧は参照出来ない。
    • リストの参加者は自由に投稿する事が出来るが、参加者以外の投稿は出来ない


  2. 顧客向け同報メール
    顧客向けサポート業務等で、共通の資料を顧客に対して一斉に発信したい場合、顧客の担当者のメールアドレス一覧を登録したリストを作成すれば、そのリスト宛てにメールを送るだけで、顧客全員に配信されます。
    このようなリストを作成する際には、以下の様な項目を考慮して属性を設定する必要があります。
    • リストへの参加・退会は、管理者のみが行える。
    • 部外者も、参加者同士でも、参加者の一覧は参照出来ない。
    • リストへの投稿は、管理者の検閲なしでは行えない。


  3. 社内サークルの掲示板
    自由に参加者を募れるサークル活動などの、連絡用にメーリングリストを使用したい場合には、以下の様な項目を考慮して属性を設定する必要があります。
    • リストへの参加・退会は、自由に行えて、参加依頼のメールは、メンバー全員に配信される。
    • リストの紹介や参加者一覧も、自由に参照出来る。
    • リストへの投稿も自由に行える

その他にも投稿されたメールのタイトルに連番を付与したり、過去の投稿メールをアーカイブして保存したりする事が標準でサポートされているため、過去の投稿に関するサポートも、容易に行う事が出来ます。
また、リストの設定内容の変更や、参加者の登録・削除等のオペレーションのほとんどは、メーリングリストシステムが定めたメールアドレスにコマンドを記述したメールを発行する事により実現可能ですので、管理作業が容易です。